モチベーション向上 中国では何を変えるか [勉強会議事録]
1.検討議題の目的
2.研究結果
社員に対して、『資格取得』を「技能修得や知識習得」の機会であり、「成果や評価」の原点である、という企業文化を作っていく事で社員のモチベーショ ンを上げていく。
具体的には、資格取得が昇格の順位を決める、他社でも必要とされる能力が身につく(成長する機会が広がる)という姿勢を会社側が示す。
資格取得後に他社へ逃げてしまう、というマイナス思考を捨てる勇気を企業が持つ事から始める。当社で学びの多くを得る機会を与えます。更に深く多くの学びを得たいという積極的人材は、貴方の能力は他社で上位職の地位を与えられ活躍の機会が与えられる、という人財育成精神の企業文化を作る。
人財育成精神とは、「学びたい」「もっと高い能力を得たい」ともがいている者に、手を差し伸べるのが教育の果たし得る場面であるという「孔子の精神」を原点にしつつ、「社会へ貢献」する大きな役割の一つに人財育成があるという「企業精神」を融合させたものをいう。
これは一つの企業で完遂できるものでもない。学びを得たいと考えている者が、その環境を選択する自由が人財育成を加速させるものである。企業もそういう人材の流動性が企業活性化の源と考えていく事が寛容である。
何故なら、学びを修了した人材より、学びを習得している時期がモチベーションの絶頂期であり、そういうポジティブな人材を活用していく仕組みが会社の成長そのものである。組織は不完全なほど活気がある。とにかく社員が必死に学ぼうとしている状態を作る事がモチベーション向上策となる。
優秀な人材から順に会社を離れる(辞めて違う会社に就職する)仕掛けが結果として社員のモチベーション向上に繋がる。
具体的には、それぞれの職位で能力充分に到達した人財は、その職位から離れその職位に安住しないしない仕掛けを作る。つまり、上位の職位で更に活躍する場の提供を行う事が更なるモチベーション向上の仕掛けとなる。この仕掛けは、最高上位の職位の方は、別会社へ移る事を意味するのである。
企業経営者からすると、優秀な人財確保に力を入れているのに、辞める仕掛け作りなど、アホめいた提案に映るものである。
しかし、事業もそうであるように、事業の核(金のなる木)だけでは将来の成長が約束されないと言われるように、企業は事業の革新を常に進めている。
現在、市場で認知(承認)されている事業が将来を保証するものではなくなってきている。だから変えるのである。
企業の組織構造も同じ事が言え、優秀なトップから順に入れ換え、新陳代謝を常に図れる仕掛けが必要である。未完成な組織こそが活性化の原点であり、継続的に会社目標を達成し続ける仕掛け作りなのである。
3.議論の背景資料
4.議論の抜粋
- 命令と服従というスタイルではなく、説得と納得という」スタイルにもっていくべき
- 新人には指示・命令が主である。モチベーションうんぬんという事ではなく、それが作業をうまく進める方法である。
- 指示・命令の乱用はよくない。
- 現地人事部長の指示と日本人の指示が食い違っている時に、社員間でトラブルになってしまう。
- 日本人が「決定権」を持っている。そう思っていなくても現地メンバーはそれに従ってしまう。
- 日本人の考え方だけで進めるのではなく、現地メンバーの目線で考える。
- 意見箱などで意見を吸い上げる事をやっているがこれだけでは不足である。
- マズローのいう下位の満足があって、上位の満足に繋がっていく。
- モチーベーションを上げるには、将来の姿(収入は・・・)を見せて上げる事。
- 何故働くのか、金銭だけのためか。
- 金銭は自分の将来を守る道具なのか。
- 収入という結果のみを捉えるのではなく、働くという考え方をスリ合わせる。
- 日本はY型人間(性善説)の存在を主流にしているが、中国はその逆でX型(性悪説)の存在を主流にして人間を見ている。
- 日本も中国もX型・Y型の存在は同じであり、その人に対する教育がそれぞぞれの存在を作っているだけ。
- 音楽の先生をつけてピアノの勉強をしている。
- ダンスパーティーを開いている。
- 罰金・罰則は効果がある。しかし、効果があるからと言ってそれら対策を止めると、元に戻ってしまう(罰金・罰則が維持の効果もある)
- そもそもルールを守る人はバカ正直であって、ルールを破って自己の利益を得る者が、優れている人と考えているのでは。
- 連帯責任にする。例えば、QQをやっていたら、その職場の仲間はインターネットが使えないようにする。そうすれば仕事が出来ずに迷惑をかける事になるので、そういった事はなくなる。
- 密告者が続出してしまう。
- 品質問題が発生した場合は罰金を取る、これはストライキの原因となる。但し、その職場責任者の減給は効果があるのでは。
- 品質問題は、公平・公正を保てるか。与えられている作業の難易度が違う。こうした評価の問題は、モチベーションに直結する。
- 会社の電話を勝手に使用した場合は、料金の3倍の金額を支払って貰うようしている。電話番号を調べれば、誰が使用しているかは判断できる。
- 罰金の目的は、悪さの再発防止です。必要なのは罰ではなく教育です。要するに、教育の施しようがない或いは教育を必要としていない場合に、再発防止策として罰金制度をとっているのでは。本来教育を行う事によって、再発防止すべき事です。
「作業指導書をどう浸透させるか」 [勉強会議事録]
作業指導書が守られない.どのようにしたら作業指導書が守られるか.
作業指導書が守られないのを放置すると,ルール・規定を守らないという悪しき風潮が蔓延する.
【問題状況】
- 見ていないと守らなくなる
監督者,管理者が眼を放すと守らない
- 初めは守るが,だんだん守らなくなる
面倒臭い所を,ショートカットする.記録作業をショートカットするので後からトレースができなくなる.ハンコ,サインが抜ける.
相談もなくアレンジする.
悪気があるわけではない.作業指導書を守らなかったときに何が起こるか想像力が足りない.
生産が間に合わない時に,作業手順書より生産台数を優先させる.
- 嫌がらせで守らない
辞めたいのに辞めさせて貰えない.
仕事,待遇に不満が有る.
フラストレーションの表れ
- 作業指導書を守ることにメリットがない
標準作業がどうしてそう決められているか理解できていない.
- 休み明けに守れなくなる
現場の監督職(班長・組長)の感性・感度が足りていない.
- 現場のルールが守られない
人の話が聞けない.
人を指導できない人が指導員になっている.
作業員に接するときにしてはならないこと,言ってはならない言葉を理解していない.
教え方をきちんと習得させなけらばならない.
【議論】
- 守れない手順になっていないか
技術者が机上で作業手順を決めてしまうと,作業がやりにくい,タクトタイム以内に終わらない,など守れない手順になってしまうことが有る.
不具合の再発防止対策として追加した作業など守れない手順になっていることが有る.
作業手順・方法の決定は,必ず現場と一緒にやる.
作業指導書の品証,技術,製造マネージャの承認が盲判となっている.各部のリーダが現場で,作業手順・方法を決める.各マネージャはそのリーダの仕事に責任を持つ意味で承認印を押す.
- 作業と作業指導書の乖離をなくす
作業改善をしたらすぐに作業指導書を改訂する.
手書きでよいのですぐ追記をする(正式改訂は後でも良い)
- 国民性,民族性のせいにしていないか
環境が変われば,やり方も変えるのが常識.それを国民性のせいにしてはならない.
ルール・規則を守らないのは中国人の国民性ではなく,彼らの処世術.
- 教えるより環境を変える
学習は,教える側よりも教わる側の熱意が重要.
ルールを守る環境を作る.上位者が見ていなくても,作業者同士で牽制が効く状態にする.
連帯責任制にすれば,作業者同士の牽制が効くようになる.
- 作業指導書が守れない理由をとことん調べる
ルール・規定を守らない者が悪い,という考えを捨て,指導者側に問題があると考えなければならない.
ルール・規定が守られない理由を徹底的に調べるコミュニケーションが必要.
- 優先順位を理解させる
納期と品質がコンフリクトする状況で誤った選択をしてしまう.これを避けるために優先順位を繰り返し従業員に刷り込む.
- 現場監督職の力量を上げる
納期と品質がコンフリクトしたときに,択一選択による解決ではなく,調和解を見出せる様に訓練する.
一般的に監督職(班長・組長)のための作業手順,作業心得が存在しない会社が多い.
監督職のために「QC手帳」のような仕事に対する心得を解説した小冊子を作ると効果があると考えている.
【事例研究】TWI研修導入 [勉強会議事録]
- ボカミスの防ぐ
- 流失率の改善
- 現場監督職の指導力の向上
<進捗状況>
- 2009年においては、社内で自習する.ライン長,組長を集めて勉強会をした. ワーク中心の勉強会は,参加者の評価が良かった.
- 2010年TWI(JI)TTTを1人取得し、全社推進させる
<悩み>
- 推進において、ご経験とアドバイスについて聞かせていただきたい
分解シート(作業を要素単位に分解した作業指導書)作成のワークに取り組んでいるが,まだ表層的なレベルにとどまっている.
暗黙智を分解シートに落とすレベルまで高めたい.
TWI活動を通して,別の工程の作業に興味を持たせようと考えている.これにより多能工化,ジョブローテーションにつなげたい.
<アドバイス>
- 体験と成功例を作る 新しい事をやる時に「楽しさ」を強調する.
- 不良の出たところ、又は悩んだ所からを始める
- トレーナーを認定する一つの条件としては何人を教えたことにする
- 分解シートの行間に安全・品質・生産性を盛り込む.
- 分解シート作成時の動作分析によりムダ・無理・ムラを取り作業を楽にしてやる.
【事例研究】降格人事 [勉強会議事録]
9月初めに生産性改善と税務問題解決のため2つの職場責任者の上に新たに上司をつけた.
事前に以前の職場責任者に面談し事情を説明.この説明では2名とも納得.
ただし1名は組織変更後に退職.
もう1名はスタッフ業務を拒否,一作業者としての仕事しかしなくなった.
【背景】
問題となっている従業員は,税務問題に精通しており仕事はできる.
ただし税務処理に精通しているため「裏道」処理をしており,会社方針の「公明正大な税務申告」とは相容れなかった.
このため経営者は税務処理の順法性を高めることを課題としてこの部署に与えた.
当該従業員は職場のリーダとして課題解決を推進する責務があったが,一向に進捗しなかった.
経営者は問題解決推進のため別部署からこの職場に責任者を配転し当該従業員の上司とすることにした.
【問題点】
税務問題は解決方向に向かい始めたが,当該従業員はモチベーションを落としている.
新に上司となった従業員も職場運営に関して困惑している.
【問題是正】
経営者はリーダを入れ替えるだけでは職場を活気付けることはできないと考え,会社全体で
・各部署の協調性を高める
・各業務の生産性を高める
・目標重視の企業文化を構築する
ことを目的として,組織変更を実施した.
新たな組織では14名のスタッフ全員に2部門の業務を兼務させることにした.
従来担当していた部門の仕事を兼務とし50%.新規担当部門の仕事を100%.合計で従来の50%アップの業務をこなすこと.
10月1日の組織図発表で全社に公表.10名の職務を入れ替え新業務と従来業務の兼務とした.
以上の事例について参加メンバー全員で議論した.
■降格人事について
・今回の降格人事では事前に面談し納得したが一人は退社.もう一人は役職をそのままにして給料を下げて欲しいと要求された.(面子の問題)
・管理職として適性がない従業員には専門職として残ってもらう道を用意している.「並列異動」という呼び方をしている.元部下が上司になるのでやめてしまう人が多い(面子の問題)
中には部下がいなくてもモチベーションが落ちない人がいる.
■モチベーションアップ
・今回の事例ではモチベーションアップを狙って150%のパフォーマンスを発揮することを要求した.モチベーションが上がり効率が上がればレイバーコストが上がっても惜しくはない.
・モチベーションを上げる手段として「目標設定」が有効.
目標の見える化の手段として週報や勉強会を活用している.
・目標の一つとしてベンチマーキングを取り入れている.(例)○○社の5Sはすばらしいので,通路の床にセロテープを貼り付けごみを採集して自社の通路と比較している.
・同業種,異業種のベンチマーキングの方法があれば知りたい.
・モチベーションアップの手法として「コーチング」が有効と考えている.
・給与・福利厚生では100%の能力を発揮する動機付けとなる.モチベーションを上げれば100%以上の能力を発揮することも可能.
■別事例
降格人事をする場合は退職勧告と同列に考えている.今回の事例のように組織に適応できないが能力のある従業員,成長の可能性がある従業員を活用する事例を紹介いただいた.
一匹狼的な従業員,組織になじめない従業員,管理職になったが管理能力が足りていない職員を集めて「経営管理室」を作った.
経営管理室では全社の部門ごとの課題をプロジェクトで解決することを使命とする.
このプロジェクトの成果の評価は,該当職場がする.
リーダシップを評価する [勉強会議事録]
プロセス評価を客観的に行う [勉強会議事録]
絶対評価vs相対評価 [勉強会議事録]
「絶対評価」と「相対評価」,「成果評価」と「プロセス評価」これらが混同してしまうとややこしくなりますが,今回は「絶対評価」と「相対評価」に絞ってそのメリット,デメリットについて議論しました.
絶対評価の場合は「分布調整」が入らないため,努力した結果がダイレクトに評価につながり,モチベーションupにつながりやすい.公平感があるというメリットはある.しかし労務費の予算が立てにくい.大勢を評価するのが困難.などのデメリットが上がりました.
メンバーの会社で「絶対評価」を取り入れているのは少数派です.作業員クラスは相対評価,管理職クラスは絶対評価と分けて運用しています.
評価そのものは「モチベーションup」というよりは「不満の解消」にしかなっていないのではないかという指摘もあり,モチベーションup,満足upにつながる制度はどうあるべきかという議論に発展しました.
従業員に対する「期待値」を明確にし,評価基準にすることにより,従業員の成長モチベーションを上げる事ができる,という結論(仮説)が得られました.
また公平な評価を行うためには評価者の力量が必要です.
仕事に対する意欲・態度に関しては,行動そのものを評価することによりあいまいな評価を避ける事ができそうです.
仕事に対する意欲・態度に関しては,業種が違っても共通項が多くあります.この勉強会でどのような行動を評価すべきか検討するか価値がありそうです.