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海底捞感動サービスの秘密 [勉強会議事録]

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第15回人財育成勉強会ではレストランチェーン海底捞火锅をケースとして,感動的サービスを提供する従業員がどのようにモチベートされているのかを議論した.


  • マニュアルを超えた仕事
    従業員が顧客に提供する感動サービスがマニュアルで規定してあるとは思えない.マニュアルで方法を知ったところで,感動サービスは提供できない.
    なぜやるかという思想を共有出来ているから,可能となる.
    Howを教えるだけではなく,その後ろにあるWhyを教えないとうまく行かない.

    棚卸しの手順書を作り,中国人作業者と勉強会をしたことがある.
    方法を理解させることは簡単だが,なぜ棚卸しをやらなければならないかを本当に理解させるのが難しかった.

  • 海底捞火锅の創業者・張勇はなぜ四川に学校を作ったのか?
    四川省出身の従業員が多いためと推定している.
    従業員をファミリィとして扱う.学校を作るというのは,地域社会への貢献とともに,従業員が故郷の家族を心配することなく仕事をする環境を整備することになる.

  • 給与と福利
    給与は,個人の業績や貢献に対して公平平等に決めることが出来れば,モチベーションをあげる要因となる.また従業員間での競争も促進できる.
    福利もモチベーション向上の要因となる.
    しかし給与や福利は「不満解消要因」でしかなく,30万元の決裁権を持っている店長や,家政婦付の宿舎に住んでいる店員には,大きな魅力にはならないだろう.

  • 海底捞のモチベーション要因
    • 満足と積極性
      仕事に対する満足感.顧客から得られる笑顔・感謝などによる達成感が,仕事に対する積極性を生んでいる.

    • 権限委譲
      副総経理は200万元,地区統括は100万元,店長が30万元の決裁権を持っている.
      また店内の作業員も,顧客を喜ばすために一日あたり数十元の権限を与えられていると思われる.この様な権限委譲が従業員のやる気を引き出す.

    • 信用されること
      権限委譲も同様だが,会社や上司が自分を信用していることを実感できれば,悪いことはしないものだ.本気で部下や従業員を信用すれば,部下や従業員は会社や上司を信頼する.

    • ジョブローテーション
      地区統括の職にあるマネージャは,皿洗いから始め,ウェイター,コック見習い,お勘定係を経験してマネージャとなっている.まさに一昔前の日本企業のジョブローテーションを同じことが行われている.
      中国においても,日本的経営手法を見直してもよいと感じている.




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第15回人財育成勉強会資料 [勉強会議事録]

第15回人財育成勉強会で使用した資料を準備しました.

『海底捞火锅』の感動サービス


『海底捞火锅』の感動サービスをケースに,従業員が自ら考え,すばらしいサービスを提供できるようにするための,仕組みと仕掛けについてメンバーと議論しました.
議事録はこちら

360°評価によるモチベーションアップ [勉強会議事録]

360°評価によるモチベーションアップあとで読む

2010年9月11日
モデレータ:佐藤実氏


360°評価導入の経緯
  • 360°評価の実施は、昇格の公平・公正な査定に使う目的だった。2008年4月にそれを開始した。(2009年はリーマンショックの影響を受け、昇格昇給は無かった ので、360°評価も実施しなかった)
  • 2010年4月に昇格決定の参考にと再度360°評価を取り入れた。
  • この時、年に1度の評価で全てが決定している現在の制度に風穴をあけるべく、毎月の評価の積み重ねが本来の有るべき姿と考え、4月以降毎月360°評価を実施している。
  • 更に、この毎月の評価結果を分析し、なぜこのような評価結果になっているのか、分析をすれば、社員のモチベーション向上に役立つ事に使えるのではと考えた。
  • 経営学には行動科学という専門分野があり、その中にマグレガーが提唱した人間観(人は、X型とY型に分けられる)がある。モチベーション向上は正にY型人間の育成に他ならない。そこで、360°評価で人間観を見る事が出来ないか試行した。
  • その分析結果、モチベーション向上に役立つ事例がでてきたので紹介する。

360°評価の点数と,従業員の勤務態度を観察して得られたX型度,Y型度を下の図にプロットしてみると,強い相関があることが分かった.

360度評価(1).gif



分析に使った表の見方
  • 縦軸に360°評価結果の数値を入れます。横軸にX型Y型の人間観を入れます。 Y型を5つに分けて、Y1/Y2を「典型的Y型人間」と呼びます。Y3/Y4を「傾向性Y型人間」と呼びます。Y5を「XY型人間」と呼びます。更にX型を同様に5つに分けX1/ X2を「典型的X型人間」よ呼び、X3/X4を「傾向性X型人間」と呼び、X5を「XY型人間」呼びます。
  • 目指す人材像は「Y1/Y2」です。その得点は非常に高く、4.0以上でなければなりません。
  • 人材のレベルを他社比較する事が可能です。評価点が3.0以上であれば、他社のレベルと同等かそれ以上のレベルと考えております。また、レベルの低い社員の再教育が必要な「レッドライン」レベルは2.4以下の評価点です。この人達にはレベル向上の為の教育が必要になります。
  • 「偏見領域境界線」を設けてあります。これは、X型やY型と判定している者の偏見要素があるかどうかを見てます。主観的判定ですから、偏見が入る可能性があります。その程度を把握する為の線です。



モチベーション向上事例
360度評価(2).gif
A社員の4月から8月までの360°評価点の推移

  • 彼は6月中旬に、私(工場長)や会社を名指しで、批判する文章を作成し、メールで知り得る関係者全員へ送付しました。
  • 内容は、『自分は数年一生懸命働いてきた。しかし4月の段階でまたも、昇格は無かった。昇格したのは、仕事中にインターネットで遊んでいる者が対象である。会社はどういう評価をしているのか疑問でならない。現在行われている360°評価は嘘で塗り尽された偽りの結果でしかない。 公平・公正を欠いた屈辱のフィードバックでしかない。このままでは、フォックスコーン事件(相次ぐ自殺)がこの工場でも起きる可能性がある。 私は解雇処分を覚悟ででこれを書いている、書かずにはいられない。私は、真面目に働く意欲を既に失っている。同志よ理解して欲しい。』
  • 内容は、私の工場運営を批判するものであり、現在取り組んでいる社員評価(360°評価)を批判するものである。
  • 文面には回りくどく色々と書かれているが、主旨は360°評価の結果に納得がいかない。自分に対する評価がいかにも低く過ぎる、という点に自論を展開している。
  • 評価に対する批判的行為に出たのみと判断した。よって、自殺行為や他の仲間を作り、何かの悪さをする事態に発生する可能性は極めて低いと考え、本人に対する処置はしなかった。つまり、この書面を無視した。
  • その後、6月の360°評価で更に評価は落ち込み、7月には極端に評価を落とす結果を招いた。
  • しかし、8月度の評価は一転して急角度で上昇したのである。
  • その急上昇の原因を裏付けるメールが彼から流れたのです。
  • 流れたメールの内容は、『私は工場長はじめ同僚にお詫びしたい。』 これが書き出しである。
  • 『私はここ数カ月、自分の責任や任務を正しく認識する事無く、上司の指示にも従う事無く、更には会社のルールを遵守する事もなかった。 新入社員にも劣る行動を取り、恥ずかしい限りです。この工場は絆で結ばれている事を知りました。その絆は確かなもので、私もその絆の一員として役割がある事を強く認識しました。工場長は随分と老けました。それは、会社の為に一生懸命に働いているからです。私はそういう周りを見ておりませんでした。工場長や同僚に謝りたい。誠に申し訳ありませんでした。これからは、本当の自分を発揮するように頑張ります。赦して下さい。』
  • 8月の彼は凄い変化を見せ、自身が批判の対象にした360°評価で彼は復活を遂げました。17位から5位に躍進したのです。その後も彼は課せられた責任を果たす為に、元気に業務に取り組んでおります。



討議内容
  • X型人間をY型人間に育成するという目的に使えるか?
    • X型人間、Y型人間であるという発見は可能です。
    • しかし、何もせずにY型人間になる育成に繋がる仕組みなるかどうかは不明である。
      • 360°評価で自分の弱点を知る事が出来ます。
      • 自ら弱点を克服する勇気のある者は、Y型に変容する可能性はあると思います。
      • 今回、そういう事例が出ました。自ら評価を上げた者が出ました。つまりY型に変化しました。
        • 「モチベーション向上事例」を見てください。
    • 日本的経営の特徴は教育により人を育てる。
  • 成績が落ちた者が、どうやってY型人間に変化したのか?
    • 工場閉鎖の準備をしている時に「絆」に気づいた。
      • 8月末に工場は閉鎖しました。閉鎖に伴い「感謝の集い」(宴会)を開催する事になり、催し準備をしました。
      • そのプログラムの一つに「絆」という詩を日本語で朗読するものがあります。その内容を知ってから、自分も仲間との絆で結ばれて事に気付いた事が大きな要因かと思います。
    • 360°評価結果に不満を持っていた。
      • 彼はその不満を会社にぶつけたが成果にはならなかった。
      • 不満を解消するには、自分が変わらなければならない事を現実の状況から理解できた。
  • 中国人の評価と日本人の評価に差はあるか?
    • 国籍による評価の差は感じません、無いと思います。
    • 日本人の中でも違う評価をするのと同じで、中国人の中でも違う評価をしている事はあります。
    • 評価項目別で見ると私の評価と現地の方の評価が分かれるものがあります。
      • リーダーシップや部下育成について、私は低い評価をしてますが、現地メンバーは少し高い評価になっております。
  • 昇格に使っているようだが、業績成果は360°評価で見る事ができるか?
    • 業績に関する評価は出来ません。
      • 昇格に業績成果は入れておりません。全体の業績を個人別に分解する方法が分かりません。
  • 評価する者は全員か?
    • 社員が30名です。新入社員を除く全員が評価に参加致します。
    • 評価者は毎回1/3程度入れ替え、評価の偏りを防ぐようにしてます。
    • 評価者は必ず上司、部下、同僚、関係組織という4つの分類で選びます。
    • 一人の評価者は10人評価する者もおり、一人しか評価しない者もおります。
      • 評価者の評価レベルを見ているので、評価がいい加減な評価者は評価人数を減らしております。
  • 評価者のレベルはどうか?
    • 評価者レベルはまだバラツキがあります。
    • 評価する時の定義を標準化して教育しておりますが、それでも定義通りの評価になってません。
      • 評価定義は前回議事録にアップされております。
    • 評価者のレベルをある程度のバラツキに抑えるには、もう少し時間をかけて、慣れる必要があるかと思っております。
  • 360°評価は何人までなら出来るか?
    • 今回の事例は社員数が少ないから出来ているのでは、という疑問があるかと思います。
    • 評価者を何人にするか、評価方法をどう改善するかという課題を抱えておりますが、この評価は何人でも出来ると考えております。
    • 360°評価を制度として取り入れるかどうかは、その熱意だと思います。人数の問題で頓挫するものではないと考えます。
  • 360°評価を毎月実施するのは大変か?
    • 準備作業に時間をかけられれば、実施は大変ではありません。
      • 評価者を決めるのに時間を要している。
        • 前回評価者と違う人に評価して貰うが、それも上司を変えるか、部下を変えるかなどの検討が必要です。
        • ワーカーの評価者が多い場合は評価が上がってしまい、少ないと評価が下がってしまう傾向を持っておりますので、そのワーカー比率を決めるのに時間を要します。
        • 普段仲がいい者を多く入れてしまうと評価が高くなり、仲が悪い者を多く入れると逆に低くなります。そういった人間関係も考慮した評価者決定をやっております。
    • この評価は毎月やる事に多くの意義があります。まさに公正・公正が保たれます。
  • 各階層ごとに実施するのはどうか?
    • 上司を一律評価したとしても、部下の評価、同僚の評価、関係組織の評価が必要です。ですから結局、現在の360°評価と同じ事になるかと思います。
  • 全員がY型人間になる事はあるか?
    • あり得ないと考えます。
      • X型とY型は50%程度でバランスされるという法則があると考えます。
      • 組織全体の底上げはあるかと思いますが、XYの関係は高いレベルで50%にバランスされると考えます。
        • 優秀な組織があったとしても、その集団の中にはX型が存在している。
        • 成果の上がらないダメな組織があったとしても、その集団の中には必ずY型が存在しているという考えです。
  • 上司の偏見的評価は存在するか?
    • 今回の施行で私(工場長)に偏見的評価が有った事が発見できた。
      • 私はある男性をX型だと見ている。よって、与える仕事もどうやるかのやり方を決めた作業指示が主だった。
      • 彼の360°評価は非常に高く、Yの領域の成績だった。
        • 私は彼に対して偏見的評価をしている事を知った。
    • 主観的評価は一方的見方になっていると言える。
  • 偏見を無くすと、被評価者の仕事態度は変わるか?
    • 今回の施行で私(工場長)は仕事の与え方を変えました。
    • 変わるべきは、被評価者ではなく、評価している側です。
    • 私は、仕事の与え方を変えました。目標を与えるようにして、仕事のやり方を説明するのを止めました。
      • それにより、彼の成長があったとは考えておりません。
      • 彼は元々Y型人間だったので、仕事はやり易くなったのだと思いますが、結果は従来も今も良い結果を出しているといえます。


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TWI導入中間報告 [勉強会議事録]

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TWI導入中間報告


2010年8月7日
モデレータ:Vivian・邹氏



  • TWIとは
    • 概要
      TWI研修は、TWIとはTraining(訓練)Within(内の)Industry(企業)for supervisors(監督者の方々のための)の頭文字をとったものである。
      日本では、労働省(現在の厚生労働省)によって輸入された。2010年現在、日本産業訓練協会(日産訓)や都道府県職業能力開発協会などを中心に、広く行なわれている。
      内容は、決められたシーケンスに従って行うような仕事、例えば工場の従業員のような人たちを想定したものある。従って、営業マンなどホワイトカラーの仕事には講習の内容が必ずしもそぐわないこともある。
    • 歴史
      TWI研修は、チャールズ・R・アレンがヨハン・フリードリヒ・ヘルバルトの4段階教授法と職業分析を適用したものが元になっている。第二次世界大戦当時、米国の技術者たちにより広められた。
      日本では、下記の歴史をたどり、実施されている。
      1950年、日本に導入される。
      1973年、現在も使用されている手引書が発行される。
      1982年、手引書の内容が一部改定される。
      1992年、改定増補版の手引書が発行される。(2002年現在も使用されている)
    • 内容
      • JI(Job In-struction)仕事の教え方
      • JM(Job Methods)改善の仕方
      • JR(Job Relations)人の扱い方
      • JS(Job Safety)安全作業のやりかた
        1968年に、日本産業訓練協会によって追加された。

  • 経緯
    2009年末にTWIを推進する方針を決定.管理部門が推進を担当(主査と補佐の2名)
    TWI-JTの研修を上海にて受講.
    TWIの趣旨を経営者に対して説明
    2010年3月活動をスタート
    TWI-JTの勉強会:組立工程の経理,課長,組長,ライン長を対象とし,10人一組・2時間×5回の研修を8月までに5回実施した.
    作業分析シート:基本作業と特殊作業について作業分解シートを作成.モデルラインでは,工程スキルマップを定義.
    モデルラインの選定基準は以下の通り,
     ・生産量がある,人員の流動性が高い.
     ・品質・生産性が安定しない.
     ・増産予定がある.
  • 活動状況
    トレーナー認定基準を策定
    TWIのトレーニングを10時間受けていること.半年以内に30人に対しトレーニングを実施していること.トレーニングは「指導観察表」で評価.
    今後はトレーニーの感想も評価に取り入れたい.

    TIW導入の効果測定指標を決定
    • 期間:TWIで指導訓練後,その作業者が目標生産性の90%を達成できる期間.
    • 品質・生産性の推移:工程内不良,直接生産性(可動率).これはTWIの成果と言うよりは,現場の努力成果としている.
    • 実感調査:トレーニーの感想

    実ラインで作業分解シートを作成
    対象ラインを選抜.組長とライン長が作成し,課長が承認する形とした.

    計画と実施の監視
    • 訓練予定表を作成.多能工計画と連動させてある.
    • 週次の生産計画会議時に,訓練予定表に実績を入れ進捗をレビューしている.
    • 作業員の熟練度は毎日評価.
    • 結果をレビューし成果をほめる.

  • 推進のポイント
    • 会社方針になっていること.
    • 適切な推進者の選定すること.
    • 管理指標の策定と,その信憑性の裏付けを確保すること.
    • 資格認定精度を設定すること.

  • 議論
    TWIの評価指標に品質と生産性をおいているが,TWIが力を発揮するのは,作業者に作業方法を教える部分.したがって継続的に品質・生産性を改善するためには,TWI-JI以外の方法を組み込む必要がある.
    作業分解シートに落とし込んだ作業が,将来にわたって最善の品質・生産性を保証できる方法とは限らない.TWIと継続的改善活動の役割分担と接点を明確にしておく必要がある.
    実感調査に関しては,教える側,教えられる側ともに充実させたいと思っている.
    今後の取り組みとして,生産議事粒門を推進部門としてTWI-JMを導入したい.
    活動を始めてみて,TWIが再度注目され始めているのを感じる.日立系列の工場が盛んにTWIを導入し始めている.
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第12回人財育成勉強会・資料 [勉強会議事録]

あとで読む第12回人財育成勉強会を開催しました.

楊雲鳳氏にモデレータをお願いし,
『従業員の心の健康を保つ・自殺防止のリスク管理』
~~~ FOXCONN の従業員 自殺事件にみる ~~~

について議論をしました.

勉強会に使用した資料を掲載します.以下をクリックしてダウンロードしてください.
>『従業員の心の健康を保つ・自殺防止のリスク管理』
~~~ FOXCONN の従業員 自殺事件にみる ~~~


議事録はしばらくお待ち下さい.


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360度評価・個人評価結果 [勉強会議事録]

あとで読む第11回人財育成勉強会にて議論した「360度評価」の個人別評価結果の例です.

360度評価・個人評価結果.JPG
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360度評価・評価結果 [勉強会議事録]

あとで読む第11回人財育成勉強会にて議論した「360度評価」の実際の評価結果です.

360度評価・評価結果.JPG
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360度評価・評価者 [勉強会議事録]

あとで読む第11回人財育成勉強会で議論した「360度評価」を実施した時の,評価者と被評価者のリストです.

360度評価・評価者.JPG
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360°評価の制度 [勉強会議事録]

360°評価とは
  • 360°評価(多面評価)とは、通常の上司からだけの評価ではなく、部下や同僚、仕事で関係のある他部門の担当者、による評価といった、多方面から人材を評価する制度です。

目的
  • 一方向からの評価では被評価者(評価される人材)の一部しか見ることができないため評価が偏る可能性がある。多くの角度から評価を受け入れることでより公平な評価に近づけることが可能になる。また、このような多面的な評価を通じて評価者(評価する人材)が客観的に自己を振り返り、今後の行動改善や育成につながる。同時に評価者、被評価者両者にとっても、仕事や仕事上の人的コミュニケーションについて再考するきっかけを与えるというメリットも期待できる。

メリット
  • 経営の視点からのメリット 従来の評価制度のもとでは社員は直属の上司を意識して行動していました。これを、社員の意識を是正し、マーケットや顧客へ向けることが可能になる。
  • 人材管理の視点からのメリット 評価の客観性が向上することで管理者は育成や処遇について、より適正な情報が得られることになる。これにより被評価者の能力や適性の程度が明確になり、効果的な人材育成や配置換えを実現できる。また、評価者の管理能力育成にもつながる。

社員個人の視点からのメリット
  • 被評価者の業務を取り巻く内外の複数関係者が評価を行うので、評価に対する客観性が高まり納得感を得ることができる。また社員個人の職務に対する意欲向上を図ることができる。
  • 公平・公正な評価は社員の仕事に対するやる気の醸成に繋がる。


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モチベーション向上 中国では何を変えるか Part 2 [勉強会議事録]

あとで読む
モチベーション向上 中国では何を変えるか・・・・PartⅡ

モデレータ:佐藤 実氏


  1. 検討議題の目的 前回、勉強会の結論に「資格取得」などの成果を正しく評価していく事が、社員のモチベーション向上になるのでは。という問題提起がありました。 この問題提起に対して、社員の評価を「360°評価」で実施した事例があるので、その事例を通じ、社員のモチベーション向上について研究していく。
    事例概要:
    スタッフ17名(ワーカー以外の全ての社員)に対して、『上司評価』『部下評価』『関係組織評価』『同僚評価』という4方面からの評価を実施した。被評価者は10名~11名の評価を受けている。 評価結果は、各個人に知らされている。
    1. 各評価項目ごとの全体平均と本人の評価点、
    2. 各評価項目毎の本人の順位、
    3. 評価者の名前を伏せた、それぞれの評価項目ごとの点数一覧表、
    4. 各評価項目ごとに、本人は平均点より高いか低いか、
    5. 相互評価の全体平均と本人の点数と順位。
    6. 全体の順位一覧表は上位5位の名前は公表し6位以下は名前を伏せて、休憩所へ掲示した。
    この発表があってから、16位に位置していた男性の業務態度に良好な変化が現れた。業務指示に対して「好的!」と大きなハリのある声に変身、職場で声をかけると走ってくる。従来の業務態度とは明らかに違う。  更に、大きな変化が全体に現われたのは、貢献賞を自ら取り消し申請が出てきた。貢献賞は就業規則を遵守しているなどの貢献に対して支払われる報奨である。この度、仕事中にインターネットを見ていたかどうかの調査を行った結果、スタッフのほぼ全員が見ている事を申告し、貢献賞(元~200元)の取り消しを行った。(お金の報奨を断る事は考えられない現象である)
  2. 研究結果
    研究1:
    社員を正しく評価するだけでなく、報奨と一体化させる工夫が必要!  正しい評価が実施されたとしても、それが社員にどういうメリットがあるかを具体的に示す必要がある。例えば、3ケ月連続で上位に入った者には、報奨金を与える。  逆に連続で下位にいる者は、減給すべきである。こうしたメリハリのある制度にしなければ、評価をしている意味が伝わらない。
    研究2:
    報酬は、お金ではなく「責任」や「部下」を与える事も効果的!  お金がモチベーション向上になっていくとは考えにくい。例えば、明日の出荷に間に合わない状況になった時の残業時間の態度は非常に緊張感がり、素晴らしいと思う。決して残業代目的の働き方ではない。モチベーションはお金ではない時の方が多くある。
    研究3:
    360°評価で高評価を得た者に何を与えるか!  高評価を得た者に何を与えるべきかを考えた時、人によって違う、という結論に陥りやすいが、その結論は必ずしも正しいとはいえない。(下図を参照)
    ≪例≫  下記の3名は、職種が違います、職位も違います。報酬は何を求めるでしょうか。それぞれ違う要望で、共通項はないのでしょうか。
    100508.GIF
     3名の要求はそれぞれ違って見えますが、共通項が見つかりました。
    1. 特別賞与
    2. 権限(責任)
    3. 部下
    4. 上位職位
     調査の方法を工夫することで、評価結果の報奨には、様々なものがあると考えられる。よって、報奨は何がいいか(受入られるか)は、個人によって違うのではなく、会社の調査の結果によって違ってくる特性がある。
  3. 議論の背景資料
     360°評価実施に使われた資料は、以下のとおり。
  4. 議論(及び質疑)の抜粋
    • 評価能力について
      • 評価者教育を実施しているか →約1.5時間ですが、11項目の評価の仕方について、ランク5はどういう行動か、ランク4は、ランク3は、・・・というように、評価項目ごとに、ランクの仕分け方の教育を行った。教育では理解度確認を行い、理解度が不足している場合は、その場で再度教育を行った。 →理解度が充分でなくても、理解しましたと宣言されれば理解したと判断しているので、理解度確認は正確とはいえません。 →評価者教育を充分に行う計画が必要である。 →入社一年以上の者が評価するようにしなければ、いい加減な評価になってしまう。
      • 評価されているスタッフの割合は →ワーカー以外、全てのスタッフを対象に実施しました。(ワーカーの中でも、上級ワーカーは評価されております) →社員数(スタッフ数)が多い会社は、どのように実施するかの検討が必要である。
      • 部下に上司を評価する能力があるか →評価者教育を行い、公平・公正な評価を目指しております。能力があるかどうかは、現時点では不明です。 →評価ランク3が、その被評価者のミッション達成という定義であるのに、頑張っているから3点を入れるというケースを見かける。ミッションが達成していなければ、3点はつかない筈。
      • 評価する者は、何ランク上の者を評価しているか →そもそも、社員が少ないので、そういった規制はなく(人の余裕はなく)当てはめております。
    • 評価項目について
      • 技術系と管理職系の評価をどうするか。技術者は部下が少ない場合が多く、専門能力が高い。管理系と同じ評価では、問題があるのでは。 →今後の課題として、検討が必要です。
      • 評価はどういう内容で行われているか →中国人が評価をする時は、感情(好き、嫌い)によって評価を行っているが、日本人は、こういうデータ分析を行い評価している。
    • 評価者について
      • 部下がいない場合は、誰が評価するか →同僚や関係組織の評価者を増やし、評価者合計人数を確保致します。
      • 同郷の者を高い評価する傾向があるのでは →今後の課題として、検討が必要です。
      • 部下から評価を受ける事にどう感じるか →上司の評価は絶対であり間違っても仕方がないと割りきれるが、部下の評価に誤解があれば、誤解を解く(話し合う)機会が得られる。
    • 評価結果の使い方について
      • 総合評価が低くても、個別の評価項目で素晴らしい評価得ている場合がある。 →そういう素晴らしい点を見る美点凝視の評価をする事で、他の低い評価を上昇させる効果を期待できる。
      • 何故中国人に重要なポストを与えないのか。 →信用していないから。信じて依頼すること(信頼)はあるが、信じて用いる(信用)は無い。よって重要なポストを与える事が出来ない。 →重要なポストを与えて、失敗するケースが多い。
      • 中国企業でも360°評価を使っている企業がある。 →私営企業、大きい会社が給与の為に使っている。 →自分達で360°評価を工夫して実施しているのではなく、コンサルタントに紹介して頂き実施している。
      • 評価結果は給与にどのように反映されるか →これは業績評価ではなく、仕事の態度・行動評価なので、昇給に直接の影響力を持たないものである。 →しかし、評価結果が出てくれば、昇給・昇格のデータとして使う事も可能である。 →一年に一回の評価で給与を決めている(昇給は1回/年)のが現実だと思う。その昇給を決める評価は、本来毎月の評価結果の積み上げでなければならないと思うが、それをやってきていない。もっというなら、毎日の日常管理が評価になっていくべきである。(つまり毎日評価を実施する)
      • 評価結果を受入られるか →評価結果は受け入れられる。しかし、結果と報酬が一致するようにしなければ、何れ使えないものになる。 →評価結果は必ず反映すべきである。例えば、17位の評価は減給すべき。3ケ月連続して17位であれば自主退職させる。
      • 信賞必罰で対応すべき →連続3ケ月一位だった場合は、特別賞を与えるなどの施策を講じなければ逆にモチベーションが下がる。
      • 給与を上げるという報酬ではなく、責任や部下を与える事は効果があるか →仕事を与えて、それをやりこなせる者を昇格させて報酬を増やすのが自然である。評価が高いだけで直ぐに給与を上げる必要なはない。 →毎月評価を実施するのであれば、毎月給与を変動させる工夫を入れる事も将来の新給与システムとして検討が必要である。(これは日本と違う手法として役立つものになる可能性がある)


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