SSブログ

モチベーション向上 中国では何を変えるか Part 2 [勉強会議事録]

あとで読む
モチベーション向上 中国では何を変えるか・・・・PartⅡ

モデレータ:佐藤 実氏


  1. 検討議題の目的 前回、勉強会の結論に「資格取得」などの成果を正しく評価していく事が、社員のモチベーション向上になるのでは。という問題提起がありました。 この問題提起に対して、社員の評価を「360°評価」で実施した事例があるので、その事例を通じ、社員のモチベーション向上について研究していく。
    事例概要:
    スタッフ17名(ワーカー以外の全ての社員)に対して、『上司評価』『部下評価』『関係組織評価』『同僚評価』という4方面からの評価を実施した。被評価者は10名~11名の評価を受けている。 評価結果は、各個人に知らされている。
    1. 各評価項目ごとの全体平均と本人の評価点、
    2. 各評価項目毎の本人の順位、
    3. 評価者の名前を伏せた、それぞれの評価項目ごとの点数一覧表、
    4. 各評価項目ごとに、本人は平均点より高いか低いか、
    5. 相互評価の全体平均と本人の点数と順位。
    6. 全体の順位一覧表は上位5位の名前は公表し6位以下は名前を伏せて、休憩所へ掲示した。
    この発表があってから、16位に位置していた男性の業務態度に良好な変化が現れた。業務指示に対して「好的!」と大きなハリのある声に変身、職場で声をかけると走ってくる。従来の業務態度とは明らかに違う。  更に、大きな変化が全体に現われたのは、貢献賞を自ら取り消し申請が出てきた。貢献賞は就業規則を遵守しているなどの貢献に対して支払われる報奨である。この度、仕事中にインターネットを見ていたかどうかの調査を行った結果、スタッフのほぼ全員が見ている事を申告し、貢献賞(元~200元)の取り消しを行った。(お金の報奨を断る事は考えられない現象である)
  2. 研究結果
    研究1:
    社員を正しく評価するだけでなく、報奨と一体化させる工夫が必要!  正しい評価が実施されたとしても、それが社員にどういうメリットがあるかを具体的に示す必要がある。例えば、3ケ月連続で上位に入った者には、報奨金を与える。  逆に連続で下位にいる者は、減給すべきである。こうしたメリハリのある制度にしなければ、評価をしている意味が伝わらない。
    研究2:
    報酬は、お金ではなく「責任」や「部下」を与える事も効果的!  お金がモチベーション向上になっていくとは考えにくい。例えば、明日の出荷に間に合わない状況になった時の残業時間の態度は非常に緊張感がり、素晴らしいと思う。決して残業代目的の働き方ではない。モチベーションはお金ではない時の方が多くある。
    研究3:
    360°評価で高評価を得た者に何を与えるか!  高評価を得た者に何を与えるべきかを考えた時、人によって違う、という結論に陥りやすいが、その結論は必ずしも正しいとはいえない。(下図を参照)
    ≪例≫  下記の3名は、職種が違います、職位も違います。報酬は何を求めるでしょうか。それぞれ違う要望で、共通項はないのでしょうか。
    100508.GIF
     3名の要求はそれぞれ違って見えますが、共通項が見つかりました。
    1. 特別賞与
    2. 権限(責任)
    3. 部下
    4. 上位職位
     調査の方法を工夫することで、評価結果の報奨には、様々なものがあると考えられる。よって、報奨は何がいいか(受入られるか)は、個人によって違うのではなく、会社の調査の結果によって違ってくる特性がある。
  3. 議論の背景資料
     360°評価実施に使われた資料は、以下のとおり。
  4. 議論(及び質疑)の抜粋
    • 評価能力について
      • 評価者教育を実施しているか →約1.5時間ですが、11項目の評価の仕方について、ランク5はどういう行動か、ランク4は、ランク3は、・・・というように、評価項目ごとに、ランクの仕分け方の教育を行った。教育では理解度確認を行い、理解度が不足している場合は、その場で再度教育を行った。 →理解度が充分でなくても、理解しましたと宣言されれば理解したと判断しているので、理解度確認は正確とはいえません。 →評価者教育を充分に行う計画が必要である。 →入社一年以上の者が評価するようにしなければ、いい加減な評価になってしまう。
      • 評価されているスタッフの割合は →ワーカー以外、全てのスタッフを対象に実施しました。(ワーカーの中でも、上級ワーカーは評価されております) →社員数(スタッフ数)が多い会社は、どのように実施するかの検討が必要である。
      • 部下に上司を評価する能力があるか →評価者教育を行い、公平・公正な評価を目指しております。能力があるかどうかは、現時点では不明です。 →評価ランク3が、その被評価者のミッション達成という定義であるのに、頑張っているから3点を入れるというケースを見かける。ミッションが達成していなければ、3点はつかない筈。
      • 評価する者は、何ランク上の者を評価しているか →そもそも、社員が少ないので、そういった規制はなく(人の余裕はなく)当てはめております。
    • 評価項目について
      • 技術系と管理職系の評価をどうするか。技術者は部下が少ない場合が多く、専門能力が高い。管理系と同じ評価では、問題があるのでは。 →今後の課題として、検討が必要です。
      • 評価はどういう内容で行われているか →中国人が評価をする時は、感情(好き、嫌い)によって評価を行っているが、日本人は、こういうデータ分析を行い評価している。
    • 評価者について
      • 部下がいない場合は、誰が評価するか →同僚や関係組織の評価者を増やし、評価者合計人数を確保致します。
      • 同郷の者を高い評価する傾向があるのでは →今後の課題として、検討が必要です。
      • 部下から評価を受ける事にどう感じるか →上司の評価は絶対であり間違っても仕方がないと割りきれるが、部下の評価に誤解があれば、誤解を解く(話し合う)機会が得られる。
    • 評価結果の使い方について
      • 総合評価が低くても、個別の評価項目で素晴らしい評価得ている場合がある。 →そういう素晴らしい点を見る美点凝視の評価をする事で、他の低い評価を上昇させる効果を期待できる。
      • 何故中国人に重要なポストを与えないのか。 →信用していないから。信じて依頼すること(信頼)はあるが、信じて用いる(信用)は無い。よって重要なポストを与える事が出来ない。 →重要なポストを与えて、失敗するケースが多い。
      • 中国企業でも360°評価を使っている企業がある。 →私営企業、大きい会社が給与の為に使っている。 →自分達で360°評価を工夫して実施しているのではなく、コンサルタントに紹介して頂き実施している。
      • 評価結果は給与にどのように反映されるか →これは業績評価ではなく、仕事の態度・行動評価なので、昇給に直接の影響力を持たないものである。 →しかし、評価結果が出てくれば、昇給・昇格のデータとして使う事も可能である。 →一年に一回の評価で給与を決めている(昇給は1回/年)のが現実だと思う。その昇給を決める評価は、本来毎月の評価結果の積み上げでなければならないと思うが、それをやってきていない。もっというなら、毎日の日常管理が評価になっていくべきである。(つまり毎日評価を実施する)
      • 評価結果を受入られるか →評価結果は受け入れられる。しかし、結果と報酬が一致するようにしなければ、何れ使えないものになる。 →評価結果は必ず反映すべきである。例えば、17位の評価は減給すべき。3ケ月連続して17位であれば自主退職させる。
      • 信賞必罰で対応すべき →連続3ケ月一位だった場合は、特別賞を与えるなどの施策を講じなければ逆にモチベーションが下がる。
      • 給与を上げるという報酬ではなく、責任や部下を与える事は効果があるか →仕事を与えて、それをやりこなせる者を昇格させて報酬を増やすのが自然である。評価が高いだけで直ぐに給与を上げる必要なはない。 →毎月評価を実施するのであれば、毎月給与を変動させる工夫を入れる事も将来の新給与システムとして検討が必要である。(これは日本と違う手法として役立つものになる可能性がある)


人気ブログランキングへ

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。